2016年 08月 11日
内村航平 - 2016年リオデジャネイロオリンピック:個人総合の演技構成 |
UCHIMURA Kohei (JPN)
2016 Olympics Rio de Janeiro (BRA) AA Routine Guide
内村航平の2016年リオデジャネイロオリンピック:個人総合の演技構成です。
動画はNHKのものがありました。埋め込みができないので、画像をクリックしてください。
#1 ゆか FX
D:6.9
E:8.866
Score:15.766
予選2位となった内村は1班の正ローテーション。常に予選1位のオレグ・ベルニャイエフ(ウクライナ)の前に演技を行う。演技構成は今回のオリンピックのために昨年固めたもの。難しいタンブリングばかりで全体的に着地が跳ねるが、最後は止めて予選・団体決勝よりも高いEスコアを出す。
#2 あん馬 PH
D:6.2
E:8.700
Score:14.900
セア倒立の角度が不足したか。フロップなどでもわずかに旋回が揺れたため妥当といえば妥当だが、厳しいといえば厳しいとも言えるEスコア。
#3 つり輪 SR
D:6.2
E:8.533
Score:14.733
昨年から構成を変えているのはこのつり輪。Dスコアは変わらないが、十字倒立は姿勢が厳しく見られるとの判断から代わりにけ上がりからの中水平を入れている。倒立もよく止まり、着地もピタリと決めるがEスコアが思ったより伸びない。力技の決めをしっかり見られているか今大会は予選・団体決勝とこのあたりのスコアになっている。
#4 跳馬 VT
予選2位のため跳馬は最初の演技者。今大会も内村のリ・シャオペンは安定している。着地わずかに跳ねただけのE:9.366は団体決勝と同じスコア。
#5 平行棒 PB
D:6.8
E:8.800
Score:15.600
ローテーション上、最後の演技者になる。内村が常々きついという5種目目で長くインターバルを取れるのは実は悪くないのではないか。団体決勝で流れた棒下ひねり倒立はしっかり決める。宙返り技では体の開きを意識しているように見えた。着地が少し低くなり前に跳ねるが、Eスコアは今大会で最も出る。
#6 鉄棒 HB
D:7.1
E:8.700
Score:15.800
予選で落下、団体決勝で振り戻りと予定の構成を完遂できていなかったが、ついに個人総合で完璧な鉄棒を演じ切る。手放し技では確実に掴むことを優先したためか肘の曲がりが見られ、アドラーひねりでもわずかな停滞があったが、最後の伸身新月面は完璧に止めた。今大会最高の着地が出て安堵の表情を見せる。
Total D:39.4
Total Score:92.365
Rank:1st
内村が見事なオリンピック2連覇を果たしました。内村はオリンピックのためのTotal D:39.4の構成を昨年から組んできましたが、国際大会で通し切ったのはこれが初めてです。予選・団体決勝と6種目を演技し、疲労困憊の中での個人総合だったはずですが、最高の演技で最高の結果を出してくれました。
ベルニャイエフとの戦いは歴史に残るデッドヒートとなりました。ベルニャイエフはこのオリンピックサイクルにおいて個人総合の大会を幾度となく制し、打倒内村の最有力であり続けましたが、肝心の世界選手権ではミスを出していました。しかし今大会は予選から好調。この個人総合では3種目目のつり輪で内村を抜いて首位に立ち、5種目目の平行棒を終えた時点で0.901の差を付けていました。
最終種目の鉄棒、内村はほぼ完璧な実施で15.800を出し、最終演技者のベルニャイエフは14.899が必要な状況でした。大きなミスなく演技を通しますが、着地が跳ねて上体も動いてしまいます。そして出たスコアは14.800。内村がわずか0.099差で逆転の金メダルとなりました。
内村は世界選手権、オリンピックを通じて個人総合8連覇。このような記録は今後も出ないでしょう。まさに空前絶後の偉業です。そしてこの8年、内村は自らの演技で世界の体操を大きく変えてきました。個人総合で力を発揮する選手が増え、Eスコアが重視される傾向が明らかに見て取れます。内村以前、各国の選手がこれほど着地を意識することがあったでしょうか。
かつてライバル不在を嘆いたこともあった内村ですが、今回は最高にしびれる戦いになりました。何より素晴らしかったのは、お互いがミスすることなく力を出し切ったことです。鉄棒の着地を止めた内村は、正直どちらが勝ってもいいと思っていたのではないでしょうか。しかし栄冠は内村に輝きました。オリンピック個人総合2連覇、本当におめでとうございます!
2016 Olympics Rio de Janeiro (BRA) AA Routine Guide
内村航平の2016年リオデジャネイロオリンピック:個人総合の演技構成です。
動画はNHKのものがありました。埋め込みができないので、画像をクリックしてください。
#1 ゆか FX
1. | 後方宙返り7/2ひねり | Back 7/2 | E | III | |
---|---|---|---|---|---|
2. | ~前方宙返り3/2ひねり | + Front 3/2 | C | II | (CV:0.1) |
3. | 前方宙返り1回ひねり | Front 1/1 | C | II | |
4. | ~前方宙返り5/2ひねり | + Front 5/2 | E | II | (CV:0.1) |
5. | 後方宙返り5/2ひねり | Back 5/2 | D | III | |
6. | ~前方宙返り2回ひねり | + Front 2/1 | D | II | (CV:0.2) |
7. | 後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり | Double Back 2/1 | E | III | |
8. | フェドルチェンコ | Fedorchenko | C | I | |
9. | トーマス | Thomas | D | IV | |
10. | 後方宙返り3回ひねり | Back 3/1 | D | III |
D:6.9
E:8.866
Score:15.766
予選2位となった内村は1班の正ローテーション。常に予選1位のオレグ・ベルニャイエフ(ウクライナ)の前に演技を行う。演技構成は今回のオリンピックのために昨年固めたもの。難しいタンブリングばかりで全体的に着地が跳ねるが、最後は止めて予選・団体決勝よりも高いEスコアを出す。
#2 あん馬 PH
1. | 逆交差倒立 | Back Scissor to Hdst | D | I |
---|---|---|---|---|
2. | 横向き旋回 | Circle | A | II |
3. | 一把手上縦向き旋回 | Pommel Loop | B | II |
4. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
5. | Dコンバイン | 2 Flops + R180 | D | IV |
6. | ロス | Russian Travel 3/3 360 | D | IV |
7. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
8. | マジャール | Magyar | D | III |
9. | シバド | Sivado | D | III |
10. | DSA倒立3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 | D | V |
D:6.2
E:8.700
Score:14.900
セア倒立の角度が不足したか。フロップなどでもわずかに旋回が揺れたため妥当といえば妥当だが、厳しいといえば厳しいとも言えるEスコア。
#3 つり輪 SR
1. | 後ろ振り上がり中水平支持 | Back Uprise to Maltese | E | III |
---|---|---|---|---|
2. | 中水平支持 | Meltese | D | IV |
3. | アザリアン | Back Roll to Cross | D | IV |
4. | 後ろ振り上がり倒立 | Back Uprise to Hdst | C | II |
5. | 屈身ヤマワキ | Yamawaki Pk | D | I |
6. | ヤマワキ | Yamawaki | C | I |
7. | ホンマ十字懸垂 | Whippet to Cross | D | III |
8. | ほん転逆上がり倒立 | Felge to Hdst | C | II |
9. | 後方車輪倒立経過 | Back Giant thru Hdst | B | I |
10. | 後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下り | Double Back 2/1 | E | V |
D:6.2
E:8.533
Score:14.733
昨年から構成を変えているのはこのつり輪。Dスコアは変わらないが、十字倒立は姿勢が厳しく見られるとの判断から代わりにけ上がりからの中水平を入れている。倒立もよく止まり、着地もピタリと決めるがEスコアが思ったより伸びない。力技の決めをしっかり見られているか今大会は予選・団体決勝とこのあたりのスコアになっている。
#4 跳馬 VT
D | E | Pen | Score | ||
リ・シャオペン | RO 1/2 Hdsp Front Lay 5/2 | 6.2 | 9.366 | 15.566 |
予選2位のため跳馬は最初の演技者。今大会も内村のリ・シャオペンは安定している。着地わずかに跳ねただけのE:9.366は団体決勝と同じスコア。
#5 平行棒 PB
1. | マクーツ | Makuts | E | I |
---|---|---|---|---|
2. | ヒーリー | Healy | D | I |
3. | 棒下宙返りひねり倒立 | Basket 1/2 to Hdst | E | IV |
4. | 棒下宙返り倒立 | Basket to Hdst | D | IV |
5. | 屈身ベーレ | Belle Pk | E | III |
6. | ハラダ | Front Uprise Back Toss 1/2 | D | II |
7. | モリスエ | Morisue | D | I |
8. | 懸垂前振り後方かかえ込み宙返りひねり腕支持 | Giant Back Toss 1/2 | D | III |
9. | 前方開脚5/4宙返り腕支持 | 5/4 Front Strd | D | I |
10. | 後方屈身2回宙返り下り | Double Back Pk | D | V |
D:6.8
E:8.800
Score:15.600
ローテーション上、最後の演技者になる。内村が常々きついという5種目目で長くインターバルを取れるのは実は悪くないのではないか。団体決勝で流れた棒下ひねり倒立はしっかり決める。宙返り技では体の開きを意識しているように見えた。着地が少し低くなり前に跳ねるが、Eスコアは今大会で最も出る。
#6 鉄棒 HB
1. | 屈身コバチ | Kovacs Pk | E | II | |
---|---|---|---|---|---|
2. | カッシーナ | Cassina | G | II | |
3. | シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手 | Stalder Hop 3/2 to MG | D | III | |
4. | アドラーひねり | Jam 1/2 | D | IV | |
5. | ~コールマン | + Kolman | F | II | (CV:0.1) |
6. | アドラー1回ひねり片逆手 | Jam 1/1 to MG | D | IV | |
7. | ~ヤマワキ | + Yamawaki | D | II | (CV:0.1) |
8. | エンドー | Endo | B | III | |
9. | 後方とび車輪1回ひねり | Hop 1/1 | C | I | |
10. | 後方伸身2回宙返り2回ひねり下り | Double Back Lay 2/1 | E | V |
D:7.1
E:8.700
Score:15.800
予選で落下、団体決勝で振り戻りと予定の構成を完遂できていなかったが、ついに個人総合で完璧な鉄棒を演じ切る。手放し技では確実に掴むことを優先したためか肘の曲がりが見られ、アドラーひねりでもわずかな停滞があったが、最後の伸身新月面は完璧に止めた。今大会最高の着地が出て安堵の表情を見せる。
Total D:39.4
Total Score:92.365
Rank:1st
内村が見事なオリンピック2連覇を果たしました。内村はオリンピックのためのTotal D:39.4の構成を昨年から組んできましたが、国際大会で通し切ったのはこれが初めてです。予選・団体決勝と6種目を演技し、疲労困憊の中での個人総合だったはずですが、最高の演技で最高の結果を出してくれました。
ベルニャイエフとの戦いは歴史に残るデッドヒートとなりました。ベルニャイエフはこのオリンピックサイクルにおいて個人総合の大会を幾度となく制し、打倒内村の最有力であり続けましたが、肝心の世界選手権ではミスを出していました。しかし今大会は予選から好調。この個人総合では3種目目のつり輪で内村を抜いて首位に立ち、5種目目の平行棒を終えた時点で0.901の差を付けていました。
最終種目の鉄棒、内村はほぼ完璧な実施で15.800を出し、最終演技者のベルニャイエフは14.899が必要な状況でした。大きなミスなく演技を通しますが、着地が跳ねて上体も動いてしまいます。そして出たスコアは14.800。内村がわずか0.099差で逆転の金メダルとなりました。
内村は世界選手権、オリンピックを通じて個人総合8連覇。このような記録は今後も出ないでしょう。まさに空前絶後の偉業です。そしてこの8年、内村は自らの演技で世界の体操を大きく変えてきました。個人総合で力を発揮する選手が増え、Eスコアが重視される傾向が明らかに見て取れます。内村以前、各国の選手がこれほど着地を意識することがあったでしょうか。
かつてライバル不在を嘆いたこともあった内村ですが、今回は最高にしびれる戦いになりました。何より素晴らしかったのは、お互いがミスすることなく力を出し切ったことです。鉄棒の着地を止めた内村は、正直どちらが勝ってもいいと思っていたのではないでしょうか。しかし栄冠は内村に輝きました。オリンピック個人総合2連覇、本当におめでとうございます!
by kaki_aqr
| 2016-08-11 23:30
| 内村航平 UCHIMURA
|
Comments(4)
Commented
by
joji8677
at 2016-08-12 01:38
内村もベルニャイエフも素晴らしい試合運びで、どちらに転んでもおかしくない緊張感のある試合でした。
ベルニャイエフの跳馬のEスコアは少し高すぎる気もしましたが、高さで序列をつけたのだと思います。
内村の吊り輪は個人的には2回の十字懸垂の静止時間が短いように感じたことと深い握りが減点の対象になったような気がします。
ベルニャイエフの跳馬のEスコアは少し高すぎる気もしましたが、高さで序列をつけたのだと思います。
内村の吊り輪は個人的には2回の十字懸垂の静止時間が短いように感じたことと深い握りが減点の対象になったような気がします。
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by
KR
at 2016-08-12 09:14
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私もベルニャエフの跳馬は足の開きがあるのにE得点が出過ぎと思いました。でも確かに高さでは内村より上だったのでそこが加味されたのですね。
とにかく歴史に残る素晴らしい戦いだったと思います。内村選手おめでとう!
とにかく歴史に残る素晴らしい戦いだったと思います。内村選手おめでとう!
>joji8677さん
>KRさん
本当にすごい戦いでしたね。両者とも、どの種目でも0.1くらいのぶれは不思議じゃないところがあったと思います。そんなどちらが勝ってもおかしくない状況では、やはり最後の着地がこの上なく重要なんですね。
できることなら2人に金メダルをあげたいとも思ってしまいました。
>KRさん
本当にすごい戦いでしたね。両者とも、どの種目でも0.1くらいのぶれは不思議じゃないところがあったと思います。そんなどちらが勝ってもおかしくない状況では、やはり最後の着地がこの上なく重要なんですね。
できることなら2人に金メダルをあげたいとも思ってしまいました。
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at 2016-08-30 22:46
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