2015年 04月 16日
シェルボの規定演技 |
Compulsory Exercises by SCHERBO
規定演技とは文字どおり、全ての選手が規定された同じ演技を行うもので、1996年まで実施されていました。団体総合はこの規定演技と自由演技の合計点で争われ、個人総合と種目別への決勝進出者もこの合計点により決まっていました。さらに1988年以前はこの合計点の1/2が「持ち点」として個人総合や種目別に持ち越されてもいました。
規定演技の映像は幸いにもYoutubeなどで今日でも見ることができます。また、以前紹介した『男子体操競技 その成立と技術の展開』という文献には過去の規定演技の一覧が収録されています。今回は規定演技というものがどのようなものであったのか、動画と規定解説文を対照しながら見ていきたいと思います。
動画は1996年アトランタオリンピックから。あのヴィタリー・シェルボ(ベラルーシ)の規定演技です。規定解説文は上記の参考文献を引用させていただきましたが、左右などの方向についてはシェルボが実施している向きに合わせています。また、「_」は2秒静止を表します。
#1 ゆか FX
#2 あん馬 PH
#3 つり輪 SR
#4 跳馬 VT
伸身とび(馬長160×馬高135)
Score:9.725
#5 平行棒 PB
#6 鉄棒 HB
いったいどこが減点されているのかよく分かりませんが(笑)、ともあれ規定演技は体操競技で要求される基本的な技術が凝縮されており、またその演技構成や所作は各種目のあるべき方向性を示唆するものであったと言うことができると思います。
皆が同じ技を行えば、自ずと極限の実施が追求、表現されることになります。そこに規定演技の面白さがあったと思うのですが、さすがにこれは相当マニアックな見方です。一般受けしないということで1996年を最後に廃止されたことは、商業主義といえばそのとおりですが、時代の流れであり致し方のないことだったでしょう。
それにしても、規定演技は今見るととても新鮮です。内村航平ら現在のトップ選手によるこういった演技も見てみたい気がします。
規定演技とは文字どおり、全ての選手が規定された同じ演技を行うもので、1996年まで実施されていました。団体総合はこの規定演技と自由演技の合計点で争われ、個人総合と種目別への決勝進出者もこの合計点により決まっていました。さらに1988年以前はこの合計点の1/2が「持ち点」として個人総合や種目別に持ち越されてもいました。
規定演技の映像は幸いにもYoutubeなどで今日でも見ることができます。また、以前紹介した『男子体操競技 その成立と技術の展開』という文献には過去の規定演技の一覧が収録されています。今回は規定演技というものがどのようなものであったのか、動画と規定解説文を対照しながら見ていきたいと思います。
動画は1996年アトランタオリンピックから。あのヴィタリー・シェルボ(ベラルーシ)の規定演技です。規定解説文は上記の参考文献を引用させていただきましたが、左右などの方向についてはシェルボが実施している向きに合わせています。また、「_」は2秒静止を表します。
#1 ゆか FX
- A角での外向き直立。踵を上げ、両腕を横後ろに振り、後方かかえ込み宙返り、身体を曲げ伸ばししながらジャンプして倒立(A-C方向)
- はね起きて、後転とび2回、後方屈身宙返り、着地(A-C方向)
- 腰を下ろし、後転倒立1/2ひねり、前転、伸膝立ち、両腕は前から上に上げる(A-C方向)
- 右脚を横に開き1/8ひねり(C-D方向)、両腕を横に下ろす。右側方倒立回転、右側方倒立回転、開脚立ち、両腕は横
- 左脚を後ろに開いて右脚を軸に90度ひねり、両腕は上。両腕を下ろし後ろに振る。左脚を前に開き1/2ひねり、右脚正面水平支持、両腕は横_(D-C方向)
- 左脚を下ろし、身体を起こし左1/4ひねり(D-A方向)。両腕を身体に添える。2-3歩助走、前方かかえ込み宙返り
- ただちにとび前転、膝曲げ立ち、直立(D-A方向)
- 前に倒れて伏臥支持、両腕を曲げる。左脚をかかえ込み、右脚を横に開く。右脚旋回2回、開脚正面水平支持_(D-A方向)
- 脚を閉じ、下ろして伏臥支持、腰の反動を使って座へ、両手は床につける。腰を上げ足で押して倒立
- 1/1ひねりしながら倒れ(ヒーリー)、仰臥支持、ただちに1/2ひねり、伏臥支持(D-A方向)
- 両脚をかかえ込み、ただちにジャンプ左1/4ひねり。両腕を上から斜め上へ(A-B方向)
- 両腕を下ろし、ホップして両脚を前後にする。ロンダート、後転とび、後ろとび1/2ひねり前方宙返り、直立
#2 あん馬 PH
- 右馬端正面横向き立ち、左手は右把手、右手は馬端:
- 下向き正移動、正面支持、横移動、左馬端背面支持
- 左馬端上両脚旋回1 1/2回、正面支持
- シュテクリB、両把手上背面支持
- 下向き逆移動、馬端正面支持、下向き逆移動、両把手上正面支持
- 開脚旋回(トーマス旋回)2回、正面支持
- 右把手上を通し左脚入れ(左脚右入れ)、左逆交差
- 右へ振り、右把手上を通し左脚入れ(左脚右入れ)、背面支持、左へ振り、左把手上を右脚抜き(右脚左抜き)、右へ振り、正交差、左へ振り、正交差
- 右へ振り、右把手上を通し右脚入れ(右脚右入れ)、背面支持、両脚旋回2回、背面支持
- 両脚左抜き、右把手上1/2ひねり(1/2シュピンデル)、両把手上背面支持
- 両脚旋回1回、とび横移動、正面支持
- 両脚入れ、馬端転向、背面支持、両脚抜き、正面支持
- 下向き全転向下り、縦向き立ち
#3 つり輪 SR
- 懸垂から伸身で引き上げ回り、背面水平懸垂_
- 肩転位、振り下ろし、懸垂
- 前振り上がり、脚前挙支持_
- 伸腕屈身開脚押し上げ倒立_
- 前振り下ろし
- 後ろ振り1/2ひねり、後ろ振り1/2ひねり。後ろ振り
- 身体左右軸周に1/1ひねりして後ろ振り上がり(前方ほん転逆上がり:ホンマ)、支持後ろ振り
- 前へ下ろして、屈身逆懸垂、け上がり、支持
- 下ろして、十字懸垂_
- 下ろして、屈身逆懸垂、後ろ振り出し、懸垂
- ほん転逆上がり、支持
- 支持前振り、後方かかえ込み宙返り下り、直立
#4 跳馬 VT
伸身とび(馬長160×馬高135)
Score:9.725
#5 平行棒 PB
- 正面縦向き立ちから助走:踏み切り、腕支持、前振り上がり、上向きとび越し1/4ひねり、単棒横向き懸垂
- 前振り、け上がり支持
- 後ろ振り上げ、倒立1/4ひねり(握りの換え方は任意)
- 後ろに振り下ろし、棒下振り出し1/2ひねり、腕支持
- 前振り、屈身腕支持経過、屈身逆懸垂に下ろす、外手け上がり支持
- 後ろ振り倒立、1/1ひねり(ヒーリー)、腕支持
- 後ろ振り、後ろ振り上がり1/2ひねり支持
- 後ろ振り1/2ひねり倒立
- 前振り1/2ひねり支持(ツイスト)
- 腕支持に下ろし、前振り、前振り上がり
- 後ろ振り、前方屈身宙返り1/2ひねり下り(ひねり方向は任意)、外側縦向き立ち(棒を握らない)
#6 鉄棒 HB
- 踏み切って、順手懸垂、懸垂振り出し、握り換えて逆手
- 前方車輪、1/2ひねり、順手倒立経過
- 後方浮支持回転、倒立
- 後方車輪1回、振り下ろし、下から握って、1/2ひねり、片逆手懸垂
- 振り上がり、上向きとび越し、順手
- 前振り、握り換えて逆手
- 両脚入れ、前方背面浮腰回転、振り出し、大逆手懸垂
- 大逆手振り上がり、握り換えて逆手倒立
- 前方浮支持回転、倒立
- 前方車輪、倒立位になる前に1/2ひねり、逆手倒立
- 前方開脚浮腰回転、倒立経過
- 前方車輪
- 懸垂後ろ振り、大伸身とび越し下り、直立
いったいどこが減点されているのかよく分かりませんが(笑)、ともあれ規定演技は体操競技で要求される基本的な技術が凝縮されており、またその演技構成や所作は各種目のあるべき方向性を示唆するものであったと言うことができると思います。
皆が同じ技を行えば、自ずと極限の実施が追求、表現されることになります。そこに規定演技の面白さがあったと思うのですが、さすがにこれは相当マニアックな見方です。一般受けしないということで1996年を最後に廃止されたことは、商業主義といえばそのとおりですが、時代の流れであり致し方のないことだったでしょう。
それにしても、規定演技は今見るととても新鮮です。内村航平ら現在のトップ選手によるこういった演技も見てみたい気がします。
by kaki_aqr
| 2015-04-16 22:00
| 各種目共通 Common
|
Comments(2)
懐かしく拝見いたしました。
つり輪のスイングでのひねり、確かシェルボさんが自由演技で行ったのが最初では…?
当初はダブルスイングだとして価値なしとする見方をする方もいらっしゃったやに聞いております。
圧巻は鉄棒、とび越しやヘヒト(伸身とび越し下り)の高さには目を見張るものがあります。日本代表だった前田将良選手が、とび越しの極限形を目指すあまり、現地での練習中に落下して腕を骨折し、本番には出場できませんでした。
Ka.Ki様の仰る通りで、同じ技を他よりもよく見せるように極限のこなしの追求がなされていました。鉄棒の開脚リアボルトが水平方向の動きから、片逆手振り上がりの上昇局面で開脚し、倒立位に至るところで浮腰へというこなしは、リュブリアナ(’70)の規定に入った時でした。
つり輪のスイングでのひねり、確かシェルボさんが自由演技で行ったのが最初では…?
当初はダブルスイングだとして価値なしとする見方をする方もいらっしゃったやに聞いております。
圧巻は鉄棒、とび越しやヘヒト(伸身とび越し下り)の高さには目を見張るものがあります。日本代表だった前田将良選手が、とび越しの極限形を目指すあまり、現地での練習中に落下して腕を骨折し、本番には出場できませんでした。
Ka.Ki様の仰る通りで、同じ技を他よりもよく見せるように極限のこなしの追求がなされていました。鉄棒の開脚リアボルトが水平方向の動きから、片逆手振り上がりの上昇局面で開脚し、倒立位に至るところで浮腰へというこなしは、リュブリアナ(’70)の規定に入った時でした。
確かにシェルボはケーブルを交差させての振動技を得意にしていましたね。最初かどうかはよく分からないのですが。いずれにせよ、規定演技にまで入っていたことを考えると、当時はつり輪に必須の要素として考えられていたんでしょうね。現在は禁止事項ですからなかなか興味深いことです。
当時の日本は規定でリードする戦い方でしたからね。アトランタでの惨敗は衝撃的でした。いつも貴重なお話ありがとうございます。
当時の日本は規定でリードする戦い方でしたからね。アトランタでの惨敗は衝撃的でした。いつも貴重なお話ありがとうございます。

