2013年 10月 18日
2013年世界選手権:種目別あん馬の演技構成 |
2013 Worlds Antwerp (BEL) EF PH Routine Guide
2013年の世界選手権・アントワープ大会:種目別あん馬の演技構成です。
#1 ZHANG Hongtao (CHN)
D:6.6
E:9.000
Score:15.600
2009年のチャンピオンが4年ぶりに出場。質の高い旋回は健在か。構成は順番が一部変わっているものの2009年と同じ。高いEスコアを出すが、D:6.6ではやや苦しい時代になってきている。
#2 BUSNARI Alberto (ITA)
D:7.1
E:8.500
Score:15.600
旋回から倒立に上げる技が3つも入っている。2013年から難度が格上げとなっていることもあり、Dスコアはロンドンから一気に0.5も上昇した。しかし、新しく取り入れた3が単に6から3/3移動を省いただけの技というのはいただけない。明らかに偏りがある構成であり、今後何らかの制限がかかることは十分考えられる。実施も停滞や力の使用が目立ちいいとは言えない。2つ入る横移動はユニークで面白いのだが。
#3 SELLATHURAI Prashanth (AUS)
D:6.6
E:7.433
Score:14.033
あん部馬背でのマジャール・シュピンデル(E)を行うも馬体に当たって落下してしまう。ほとんど使い手がいない高難度技だけにぜひ成功させて欲しかった。馬端でシュピンデルをやり直し、構成は2011年と同じとなってD:6.6に。落下に加え、セア倒立での停滞、ウ・グォニアンでの脚割れなどがあり、Eスコアは伸びない。
#4 WHITLOCK Max (GBR)
D:7.2
E:8.433
Score:15.633
実にスムーズにGコンバインを決める。さらにG難度の旋回倒立技も入れて非常に高いDスコアにしている。下ろした後の旋回からシュピンデルまでがバタバタするのが課題か。終末技はひねり切ることができず、E難度の予定がD難度になってしまった。
#5 SELIGMAN Robert (CRO)
D:6.4
E:9.033
Score:15.433
横向きの閉脚シュピンデルは珍しい。さらに縦向きのシュピンデルも入れてきた。Dスコアは高くなく実施で勝負をしてくる。旋回のレベルは高く、体はまっすぐというより反っているのではないかと思えるほど。ただ個人的には少しバタバタした感じが気にはなる。
#6 亀山耕平 KAMEYAMA Kohei (JPN)
D:6.9
E:8.933
Score:15.833
難度の高い技を次々と繰り出すD:6.9の構成にも関わらず実施も確実にまとめてくる。交差も大きく行っている。素晴らしい演技でウィットロックを上回る非常に高いスコアを出す。
#7 CORRAL BARRON Daniel (MEX)
D:6.8
E:8.833
Score:15.633
こちらも亀山とよく似た難度の高い構成。実施も安定している。最後に倒立で上げるところで力を使ってしまった。
#8 PETROV Matvei (RUS)
D:6.7
E:8.716
Score:15.416
全体的には質の高い旋回を見せるが、コンバインで脚が割れ、ウ・グォニアンでは大きく旋回が乱れた。ロシアン転向に課題か。
亀山耕平 KAMEYAMA Kohei (JPN)
WHITLOCK Max (GBR)
CORRAL BARRON Daniel (MEX)
仮にトップ10技全てがD難度だとするとDスコアは6.5になるわけですが、この内いくつをE難度以上に上げられるかがあん馬のDスコアアップのポイントとなります。種目別クラスではD:6.7以上であれば世界でも一握りの高難度の構成と言えるでしょう。さらにD:7.0以上にまで上げようとすれば、旋回から倒立に上げる技を入れることになります。こちらはもっと多くの選手が取り入れてくるかと思われましたが、実施したのはブスナリとウィットロックだけでした。ルール改訂から間もないこともあり、これからまだまだ増えてくるのではないかと思われます。
予選8位で決勝に滑り込んだ亀山が誰も予想だにしなかった優勝です。今大会はベルキ・クリスティアン(ハンガリー)ら名だたる有力選手がミスを犯して予選落ちしており、一歩間違えば決勝に進出できなかった可能性もあった中での見事な大逆転劇。D:7.3を用意して優勝候補最右翼だったウィットロックまでまくってしまったのには本当に驚きでした。
2013年の世界選手権・アントワープ大会:種目別あん馬の演技構成です。
#1 ZHANG Hongtao (CHN)
1. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
---|---|---|---|---|
2. | Eコンバイン | 2 Flops + R360 | E | IV |
3. | 一把手上縦向き旋回 | Pommel Loop | B | II |
4. | 正交差倒立 | Front Scissor to Hdst | D | I |
5. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
6. | シバド | Sivado | D | III |
7. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
8. | 馬端馬背ロシアン1080°転向 | Leather Russian 1080 | D | IV |
9. | マジャール | Magyar | D | III |
10. | DSA倒立3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 | D | V |
D:6.6
E:9.000
Score:15.600
2009年のチャンピオンが4年ぶりに出場。質の高い旋回は健在か。構成は順番が一部変わっているものの2009年と同じ。高いEスコアを出すが、D:6.6ではやや苦しい時代になってきている。
#2 BUSNARI Alberto (ITA)
1. | 正交差横移動ひねり逆交差入れ | Front Double Scissor Travel Sdw | C | I |
---|---|---|---|---|
2. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
3. | DSA倒立1回ひねり下ろして旋回 | DSA to Hdst 360 Lower to Flair | F | II |
4. | 旋回倒立1回ひねり3/3移動下ろして旋回 | Flair to Hdst 3/3 360 Lower to Flair | F | II |
5. | 1回の旋回で正面横移動 | Front Hop Travel 3/3 | D | III |
6. | DSA倒立1回ひねり3/3移動下ろして旋回 | DSA to Hdst 3/3 360 Lower to Flair | G | II |
7. | 正面横移動連続(あん部馬背着手) | Front Travel 3/3 Hands btw P | C | III |
8. | マジャール | Magyar | D | III |
9. | シバド | Sivado | D | III |
10. | 旋回倒立450°ひねり3/3移動下り | Flair to Hdst Travel 3/3 450 | D | V |
D:7.1
E:8.500
Score:15.600
旋回から倒立に上げる技が3つも入っている。2013年から難度が格上げとなっていることもあり、Dスコアはロンドンから一気に0.5も上昇した。しかし、新しく取り入れた3が単に6から3/3移動を省いただけの技というのはいただけない。明らかに偏りがある構成であり、今後何らかの制限がかかることは十分考えられる。実施も停滞や力の使用が目立ちいいとは言えない。2つ入る横移動はユニークで面白いのだが。
#3 SELLATHURAI Prashanth (AUS)
1. | 正交差倒立 | Front Scissor to Hdst | D | I |
---|---|---|---|---|
2. | あん部馬背ロシアン1080°転向 | Russian 1080 btw Pommels | E | IV |
3. | あん部馬背縦向き旋回 | Loop btw Pommels | B | II |
4. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
あん部馬背マジャール・シュピンデル〈落下〉 | Loop 1/1 Spindle btw P | |||
5. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
6. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
7. | 馬端馬背ロシアン1080°転向 | Leather Russian 1080 | D | IV |
8. | マジャール | Magyar | D | III |
9. | シバド | Sivado | D | III |
10. | DSA倒立3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 | D | V |
D:6.6
E:7.433
Score:14.033
あん部馬背でのマジャール・シュピンデル(E)を行うも馬体に当たって落下してしまう。ほとんど使い手がいない高難度技だけにぜひ成功させて欲しかった。馬端でシュピンデルをやり直し、構成は2011年と同じとなってD:6.6に。落下に加え、セア倒立での停滞、ウ・グォニアンでの脚割れなどがあり、Eスコアは伸びない。
#4 WHITLOCK Max (GBR)
1. | 正交差横移動ひねり逆交差入れ | Front Double Scissor Travel Sdw | C | I |
---|---|---|---|---|
2. | Gコンバイン | 2 Flops + R1080 | G | IV |
3. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
4. | DSA倒立1回ひねり3/3移動下ろして旋回 | DSA to Hdst 3/3 360 Lower to Flair | G | II |
5. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
6. | マジャール | Magyar | D | III |
7. | シバド | Sivado | D | III |
8. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
9. | 馬端馬背ロシアン1080°転向 | Leather Russian 1080 | D | IV |
10. | DSA倒立3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 | D | V |
D:7.2
E:8.433
Score:15.633
実にスムーズにGコンバインを決める。さらにG難度の旋回倒立技も入れて非常に高いDスコアにしている。下ろした後の旋回からシュピンデルまでがバタバタするのが課題か。終末技はひねり切ることができず、E難度の予定がD難度になってしまった。
#5 SELIGMAN Robert (CRO)
1. | 正交差横移動ひねり逆交差入れ | Front Double Scissor Travel Sdw | C | I |
---|---|---|---|---|
2. | 横向き旋回1回ひねり | Circle 1/1 Spindle | D | II |
3. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
4. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
5. | 縦向き後ろ移動(2/3) | Back Loop Travel 2/3 | B | III |
6. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
7. | 馬端馬背ロシアン1080°転向 | Leather Russian 1080 | D | IV |
8. | マジャール | Magyar | D | III |
9. | シバド | Sivado | D | III |
10. | ロシアン1080°転向下り | Russian 1080 | D | V |
D:6.4
E:9.033
Score:15.433
横向きの閉脚シュピンデルは珍しい。さらに縦向きのシュピンデルも入れてきた。Dスコアは高くなく実施で勝負をしてくる。旋回のレベルは高く、体はまっすぐというより反っているのではないかと思えるほど。ただ個人的には少しバタバタした感じが気にはなる。
#6 亀山耕平 KAMEYAMA Kohei (JPN)
1. | 逆交差倒立 | Back Scissor to Hdst | D | I |
---|---|---|---|---|
2. | 正交差倒立 | Front Scissor to Hdst | D | I |
3. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
4. | Eコンバイン | 2 Flops + R360 | E | IV |
5. | あん部馬背ロシアン1080°転向 | Russian 1080 btw Pommels | E | IV |
6. | 縦向き前移動(1-2-5) | Front Loop Travel 1-2-5 | D | III |
7. | シバド | Sivado | D | III |
8. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
9. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
10. | DSA倒立3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 | D | V |
D:6.9
E:8.933
Score:15.833
難度の高い技を次々と繰り出すD:6.9の構成にも関わらず実施も確実にまとめてくる。交差も大きく行っている。素晴らしい演技でウィットロックを上回る非常に高いスコアを出す。
#7 CORRAL BARRON Daniel (MEX)
1. | 逆交差倒立 | Back Scissor to Hdst | D | I |
---|---|---|---|---|
2. | 正交差倒立 | Front Scissor to Hdst | D | I |
3. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
4. | Dコンバイン | 2 Flops + R180 | D | IV |
5. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
6. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
7. | 馬端馬背ロシアン1080°転向 | Leather Russian 1080 | D | IV |
8. | マジャール | Magyar | D | III |
9. | シバド | Sivado | D | III |
10. | DSA倒立450°ひねり3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 450 | E | V |
D:6.8
E:8.833
Score:15.633
こちらも亀山とよく似た難度の高い構成。実施も安定している。最後に倒立で上げるところで力を使ってしまった。
#8 PETROV Matvei (RUS)
1. | 逆交差倒立 | Back Scissor to Hdst | D | I |
---|---|---|---|---|
2. | 横向き旋回1回ひねり | Flair 1/1 Spindle | D | II |
3. | Dコンバイン | 2 Flops + R180 | D | IV |
4. | Eフロップ | 4 Flops | E | IV |
5. | ウ・グォニアン | Russian Travel 3/3 720 | E | IV |
6. | マジャール・シュピンデル | Loop 1/1 Spindle | D | II |
7. | 馬端馬背ロシアン1080°転向 | Leather Russian 1080 | D | IV |
8. | マジャール | Magyar | D | III |
9. | シバド | Sivado | D | III |
10. | DSA倒立3/3移動下り | DSA to Hdst Travel 3/3 | D | V |
D:6.7
E:8.716
Score:15.416
全体的には質の高い旋回を見せるが、コンバインで脚が割れ、ウ・グォニアンでは大きく旋回が乱れた。ロシアン転向に課題か。
亀山耕平 KAMEYAMA Kohei (JPN)
WHITLOCK Max (GBR)
CORRAL BARRON Daniel (MEX)
仮にトップ10技全てがD難度だとするとDスコアは6.5になるわけですが、この内いくつをE難度以上に上げられるかがあん馬のDスコアアップのポイントとなります。種目別クラスではD:6.7以上であれば世界でも一握りの高難度の構成と言えるでしょう。さらにD:7.0以上にまで上げようとすれば、旋回から倒立に上げる技を入れることになります。こちらはもっと多くの選手が取り入れてくるかと思われましたが、実施したのはブスナリとウィットロックだけでした。ルール改訂から間もないこともあり、これからまだまだ増えてくるのではないかと思われます。
予選8位で決勝に滑り込んだ亀山が誰も予想だにしなかった優勝です。今大会はベルキ・クリスティアン(ハンガリー)ら名だたる有力選手がミスを犯して予選落ちしており、一歩間違えば決勝に進出できなかった可能性もあった中での見事な大逆転劇。D:7.3を用意して優勝候補最右翼だったウィットロックまでまくってしまったのには本当に驚きでした。
by kaki_aqr
| 2013-10-18 21:00
| 五輪&世界選手権 OG&WC EF
|
Comments(10)
Commented
by
名無しのSさん
at 2013-10-20 20:20
x
ブスナリは倒立技を含まない実施だと(ただし終末技は除く)、Dスコアはどれくらいになるんだろう?
ふと気になったので。
ふと気になったので。
昔の動画を検索してみるとセア倒立やEコンバイン、モギルニー、ロシアン転向を入れているものがありました。今使っている横移動とかと合わせるとD:6.5くらいにはなりそうです。さすがに下がりますが、意外と高いなという印象です。
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by
名無しのSさん
at 2014-02-03 10:26
x
http://www.jr-gym.or.jp/news2012/joho1219.pdf#search='%E7%94%B7%E5%AD%90%E4%BD%93%E6%93%8D%E7%AB%B6%E6%8A%80%E6%83%85%E5%A0%B1+19+%E5%8F%B7'(15/24)
ウ・グォニアンは馬背、馬端それぞれに到達するまでに360度ひねりきらないといけないようですが、これってできてる選手少ないですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=UdM6EwzXWGw&feature=player_detailpage#t=378
ふとこの動画を見て気になった。
ウ・グォニアンは馬背、馬端それぞれに到達するまでに360度ひねりきらないといけないようですが、これってできてる選手少ないですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=UdM6EwzXWGw&feature=player_detailpage#t=378
ふとこの動画を見て気になった。
この要件はだいたいみなできていると思っていたのですが、そうなんですか。ウ・グォニアンはポメルを使う人と使わない人がいるのが興味深いです。
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by
名無しのSさん
at 2014-02-03 21:02
x
確かにできてはいるのですが、片手が馬端についた時点ですでに360度ひねりきっている実施は珍しいなあと。
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名無しのSさん
at 2014-02-04 17:55
x
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=DezQQ_nwnB8#t=22
この人もポメルを使って行っていますね。
微妙な実施ではありますが。
個人的にはやっぱり鄒凱のような実施が好きですね。
ちゃんとした転向移動って感じなので。
ポメルを使っていない実施だと、馬端に到達するまでに720度ひねりきることは難しく、どうしてもロシアン移動+ロシアン旋回みたいな捌きになってしまうので。
今大会では7番目の演技者も鄒凱と同じ捌きをしてますね。
この人もポメルを使って行っていますね。
微妙な実施ではありますが。
個人的にはやっぱり鄒凱のような実施が好きですね。
ちゃんとした転向移動って感じなので。
ポメルを使っていない実施だと、馬端に到達するまでに720度ひねりきることは難しく、どうしてもロシアン移動+ロシアン旋回みたいな捌きになってしまうので。
今大会では7番目の演技者も鄒凱と同じ捌きをしてますね。
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名無しのSさん
at 2014-02-04 17:56
x
なってしまうではなく、なってしまいがちですね。
工夫すればポメルを使わずとも、ちゃんとした転向移動ができると思います。
工夫すればポメルを使わずとも、ちゃんとした転向移動ができると思います。
確かに最後の90°~180°くらいは馬端で回すかたちになりがちかもしれませんね。ウ・グォニアンも種目別クラスではほとんどの選手が入れてきますが、違いを見るのも面白いですね。
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名無しのSさん
at 2014-02-04 21:05
x
そのあたりは、ちゃんと馬端までにひねりきっている人と、ひねりきれていない人では、評価が同じなのか、それとも違うのか気になるところです。
ウ・グォニアンは脚が割れたり旋回が乱れたりしやすい技なので、そちらの方を見てしまいがちですが、どうなんでしょうね。