2016年 11月 03日
消えゆく技:シュタルダーとび1回ひねり大逆手 |
Disappearing Elements : Stalder Hop 1/1 to El on HB
鉄棒のシュタルダーとび1回ひねり大逆手も2017年のルール改訂で削除される技です。
シュタルダーとび1回ひねり大逆手 Stalder Hop 1/1 to El
動画は冨田洋之のこの演技を。最後の着地のミスが惜しまれますが、ヤマワキ(D)の後のこの技はスムーズに決めています。この2008年のワールドカップファイナル・マドリード大会の鉄棒は、冨田の現役最後の演技です。
英語版Code of Pointsではわざわざ"(change de rotation direction)"と書いてあるように、回転方向が変わる微妙な技です。完全に倒立にまで収める実施もまず見かけず、削除されてしまうのも無理からぬところだとは思います。
難度はD難度。この技を片大逆手で握る技は難度表にはありませんが、C難度で判定されていました。シュタルダーからでなく車輪から同様の運動をする「懸垂前振り1回ひねり大逆手」というC難度技もグループIにありますが、こちらも合わせて削除されます。
この技の削除で最も影響を受けるのは中国の選手たちでしょう。中国では取りやすいD難度技と考えられていたようで、かなりの選手が演技に入れていました。この技からバラバノフ(D)につなぐ連続技を行っていた選手もいましたね。
鉄棒のシュタルダーとび1回ひねり大逆手も2017年のルール改訂で削除される技です。
シュタルダーとび1回ひねり大逆手 Stalder Hop 1/1 to El
動画は冨田洋之のこの演技を。最後の着地のミスが惜しまれますが、ヤマワキ(D)の後のこの技はスムーズに決めています。この2008年のワールドカップファイナル・マドリード大会の鉄棒は、冨田の現役最後の演技です。
英語版Code of Pointsではわざわざ"(change de rotation direction)"と書いてあるように、回転方向が変わる微妙な技です。完全に倒立にまで収める実施もまず見かけず、削除されてしまうのも無理からぬところだとは思います。
難度はD難度。この技を片大逆手で握る技は難度表にはありませんが、C難度で判定されていました。シュタルダーからでなく車輪から同様の運動をする「懸垂前振り1回ひねり大逆手」というC難度技もグループIにありますが、こちらも合わせて削除されます。
この技の削除で最も影響を受けるのは中国の選手たちでしょう。中国では取りやすいD難度技と考えられていたようで、かなりの選手が演技に入れていました。この技からバラバノフ(D)につなぐ連続技を行っていた選手もいましたね。
by kaki_aqr
| 2016-11-03 22:00
| 鉄棒 HB
|
Comments(14)
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タージマハル
at 2016-11-04 23:36
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いつも本当に楽しくみせていただいています。ありがとうございます。以前、日本の社会人大会の大会の練習で、この技を片大逆手で倒立におさまるほどの実施をしていたのをみたことがあります(本番では、そのまま倒立を狙いすぎて超えてしまいましたが)。
規定演技があった頃には、技の理想像と勝負していたような気がします(膝つま先が伸びていて減点のない体操ではなく)。高難度の技を美しく実施するのも素晴らしいですが、いいさばきをすると味のある実施ができる技がなくなっていくのは、寂しい気がします。前回の記事の後方宙返り一回ひねり前後開脚座も、すごく難しい魅力のある技だと個人的には思います。
規定演技があった頃には、技の理想像と勝負していたような気がします(膝つま先が伸びていて減点のない体操ではなく)。高難度の技を美しく実施するのも素晴らしいですが、いいさばきをすると味のある実施ができる技がなくなっていくのは、寂しい気がします。前回の記事の後方宙返り一回ひねり前後開脚座も、すごく難しい魅力のある技だと個人的には思います。
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ツク
at 2016-11-05 12:51
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独特な技がなくなるのは少し寂しいですね…
ルール的にはたしかに不思議な技だとは思うのですが
ルール的にはたしかに不思議な技だとは思うのですが
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ナダル
at 2016-11-05 16:47
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見た中ではスペインのカルバロ選手の実施が一番でしたね。
https://www.youtube.com/watch?v=BCEMOURs22g
https://www.youtube.com/watch?v=BCEMOURs22g
>タージマハルさん
こちらこそいつもご覧いただきありがとうございます。
確かに倒立については狙いすぎるとバーを越えてしまう可能性がありますね。
そうですね、今日では味のある捌きと言えるものはあまり見られなくなりましたね。タージマハルさんの仰る、ただ減点がない実施との違い、よく分かる気がします。
こちらこそいつもご覧いただきありがとうございます。
確かに倒立については狙いすぎるとバーを越えてしまう可能性がありますね。
そうですね、今日では味のある捌きと言えるものはあまり見られなくなりましたね。タージマハルさんの仰る、ただ減点がない実施との違い、よく分かる気がします。
>ツクさん
確かに独特の技ですね。鉄棒では単純な方向転換は構成上の減点になりますが、そんなことも関係しているんでしょうかね。
確かに独特の技ですね。鉄棒では単純な方向転換は構成上の減点になりますが、そんなことも関係しているんでしょうかね。
>ナダルさん
動画のご紹介ありがとうございます。カルバロ選手の鉄棒は好みです。平行棒のオリジナル技を見ても分かるように肩が柔軟で、シート系の技や大逆手の技が上手いですよね。
動画は2004年のヨーロッパ選手権ですかね。この技を閉脚でやって、さらに1回ひねり大逆手を連続してE+Dを取っていますね。
動画のご紹介ありがとうございます。カルバロ選手の鉄棒は好みです。平行棒のオリジナル技を見ても分かるように肩が柔軟で、シート系の技や大逆手の技が上手いですよね。
動画は2004年のヨーロッパ選手権ですかね。この技を閉脚でやって、さらに1回ひねり大逆手を連続してE+Dを取っていますね。
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taskbar
at 2016-11-08 11:17
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アテネルールの時に、この技から大逆手エンドー~握り変えて一回ひねり大逆手 で、D+Eの加点をとる選手が国内で見かけました。ふわっと流れのある美しいさばきでした。味のある捌きを評価できないルールも寂しいもんですね
すごい連続ですね。大逆手エンドー1回ひねり大逆手のような握り換えのある技も削除(分割)されて消えてしまいましたね。
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てむ
at 2016-11-09 08:49
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https://youtu.be/ONM2U6UJT_g
片逆手の実施でしたらこの選手がよいなと思いました
大逆手の実施で倒立は見たことがないので是非とも見てみたいですね
片逆手の実施でしたらこの選手がよいなと思いました
大逆手の実施で倒立は見たことがないので是非とも見てみたいですね
動画のご紹介ありがとうございます。これは角度的には申し分ない倒立と言っていいかもしれませんね。これ以上攻めると越えてしまうかもというところです。
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クルベック
at 2016-12-25 15:21
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いつもとても楽しく拝見させていただいています。こちらは知識も見識もとてもすべてを理解できるところまで追い付かず、一つ一つの項目をじっくり楽しませていただいているところです。
そんなわけで近年のルールそのものも把握できていないのですが、この技にも関わる鉄棒の「回転方向が変わる技」は現在では、いわゆる「逆スイング」としてすべて減点の対象になるのでしょうか?
個人的にはいわゆりきり返し系も含めて、ケステなどの回転方向を変える技が好きだったのですが、たとえばかつての塚原光男選手のシュタルダー同時持ちかえ→逆手で振りおろしてコスミックや、小野喬選手の順手背面f振り上がりひねり支持→後方浮き腰回転なども逆スイング扱いになるのでしょうか?
「リバルコ」の項でもご指摘がありましたが、今のルールでは監物選手の潜りひねりのような角度でのひねりが大幅な減点対象になるように、ちょっと目先を変えた動きが認められないのを残念に思う身なので、今さらとは思いつつご質問させていただきました。
そんなわけで近年のルールそのものも把握できていないのですが、この技にも関わる鉄棒の「回転方向が変わる技」は現在では、いわゆる「逆スイング」としてすべて減点の対象になるのでしょうか?
個人的にはいわゆりきり返し系も含めて、ケステなどの回転方向を変える技が好きだったのですが、たとえばかつての塚原光男選手のシュタルダー同時持ちかえ→逆手で振りおろしてコスミックや、小野喬選手の順手背面f振り上がりひねり支持→後方浮き腰回転なども逆スイング扱いになるのでしょうか?
「リバルコ」の項でもご指摘がありましたが、今のルールでは監物選手の潜りひねりのような角度でのひねりが大幅な減点対象になるように、ちょっと目先を変えた動きが認められないのを残念に思う身なので、今さらとは思いつつご質問させていただきました。
クルベックさん、いつもご覧いただきありがとうございます。
基本的には難度表にない方向転換が減点になるということだと思います。オノは方向転換して支持で終わる技ですし、シュタルダーとび逆手持ち換えも難度表にあるのでOKだと思います。順手背面後ろ振り出しももちろん大丈夫でしょう。
今日のルールで方向転換があまり望まれないのは、意図してやったものか、ミスしてやってしまったものかという区別が難しいからだと思います。こういった古き良き時代の動きは私も大好きなので、熟練した捌きで実施してくれる選手が今日でももっと出てほしいと思います。
基本的には難度表にない方向転換が減点になるということだと思います。オノは方向転換して支持で終わる技ですし、シュタルダーとび逆手持ち換えも難度表にあるのでOKだと思います。順手背面後ろ振り出しももちろん大丈夫でしょう。
今日のルールで方向転換があまり望まれないのは、意図してやったものか、ミスしてやってしまったものかという区別が難しいからだと思います。こういった古き良き時代の動きは私も大好きなので、熟練した捌きで実施してくれる選手が今日でももっと出てほしいと思います。
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クルベック
at 2016-12-26 12:48
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丁寧なご回答、本当にありがとうございます。
まずは個人的に気に入っていた技の繋ぎがルールで全否定されていない現状に安堵し、そのルール上の根拠と「意図したものかミスかの判断が難しい」ものをあらかじめ排除するという根底の考え方にとても納得が得られました。重ねて感謝しお礼申し上げます。
誤記してしまいましたが小野選手はオノから「浮き支持回転」でしたね。(加藤沢男選手がオノから即シュタルダーにつないでいました。こちらで紹介されている動画のように小野選手のメルボルン五輪の演技までネットで見られるし、良い時代になったものだと実感します)
オノを平行棒の前振りひねりのように倒立に近い位置まで持ち込んだ上で、吸い込まれるように浮き支持回転倒立につなぐといった「熟練した捌き」の実施を本当に見てみたいものです。
失礼いたしました。
まずは個人的に気に入っていた技の繋ぎがルールで全否定されていない現状に安堵し、そのルール上の根拠と「意図したものかミスかの判断が難しい」ものをあらかじめ排除するという根底の考え方にとても納得が得られました。重ねて感謝しお礼申し上げます。
誤記してしまいましたが小野選手はオノから「浮き支持回転」でしたね。(加藤沢男選手がオノから即シュタルダーにつないでいました。こちらで紹介されている動画のように小野選手のメルボルン五輪の演技までネットで見られるし、良い時代になったものだと実感します)
オノを平行棒の前振りひねりのように倒立に近い位置まで持ち込んだ上で、吸い込まれるように浮き支持回転倒立につなぐといった「熟練した捌き」の実施を本当に見てみたいものです。
失礼いたしました。
こちらこそ、ご丁寧にありがとうございます。
オノは、支持で終わるという今日の鉄棒としてはもはや異質の技で、正直なところいつ削除されても仕方のないところがあると思いますが、是非とも末永く残ってほしいと思います。倒立にまで持ち込むのはこの技の到達点でしょうね。そんな技を見てみたいとも思います。
オノは、支持で終わるという今日の鉄棒としてはもはや異質の技で、正直なところいつ削除されても仕方のないところがあると思いますが、是非とも末永く残ってほしいと思います。倒立にまで持ち込むのはこの技の到達点でしょうね。そんな技を見てみたいとも思います。