ついに発表された棒下マクーツ |
先日のアジア選手権・広島大会で山室光史が平行棒の棒下マクーツを発表しました。どんな技なのか確認しておきましょう。
棒下マクーツは棒下宙返りからマクーツを行う技で、日本語で表記すると「棒下宙返り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持」というとても長い名前になります。以前から、発表されるのは時間の問題と思われていた技で、2012年にはアメリカの選手が国内大会で実施しています。
2014年には田中佑典が全日本種目別選手権で成功。平行棒にはすでにタナカという技があるため、タナカ・ユウスケになるのではと期待されましたが、同年の世界選手権では実施しませんでした。
そして今回の山室の実施がこちら。アジア選手権はFIG公認の大陸選手権であり、新技にはヤマムロの名前が付く可能性があります。この大会ではG難度で判定されていました。
気になるのは、これらの実施の前半にあたる3/4ディアミドフの部分が片腕支持の捌きではなく、(かつてよく行われていた)棒下宙返り3/4ひねり倒立の捌きになっていること。この捌きでは単棒倒立になる前にもう片方の腕でもバーを支えるようなかたちになります。
ディアミドフは片腕支持でひねることが要件の技です。したがって棒下マクーツも前半部分はテン・ハイビンのように片腕支持で捌くことが求められるかもしれません。採点規則の平行棒の章には「片腕支持でのひねり技は余分な支えをすることは許されない」ことが明記されています。両者の捌きを図で表すとこんな感じになります。
実施されている棒下マクーツの捌き
片腕支持の棒下マクーツの捌き
とはいえ、この後者の捌きで行う棒下マクーツは見たことがありません。ただでさえ使い手のほとんどいないテン・ハイビンを3/4ひねり単棒倒立で止めることになり、相当に難しい気がします。今回の棒下マクーツは今後FIGの技術委員会で審議されることになりますが、どのような結果となるのか注目したいと思います。