本家本元:シューフェルト |
内村航平が跳んでいることですっかりお馴染みのシューフェルト(伸身ユルチェンコとび5/2ひねり)です。
ロンダートから入る跳越はかつては女子だけのものでした。1982年のモスクワニュース杯で旧ソビエト連邦のナタリア・ユルチェンコがロンダートからの後転とび後方伸身宙返りという革新的な跳越を実施(さらには1回ひねりまで実施)。ユルチェンコとびと呼ばれるようになりました[1]。
[1] 実はその前年の1981年に旧ソビエト連邦のヴィクトル・レベンコフが実施しているのですが、男子の縦向きの跳馬では危険ということで禁止になったという経緯があります。
男子にロンダートから入る跳越が認められたのは1989年のルール改訂からです。2回半ひねりを男子で最初に発表したのはカナダのカイル・シューフェルト。2000年シドニーオリンピックで発表されたらしいのですが、動画が探せなかったので2002年の実施を。
本家のベストパフォーマンスはこちらでしょうか。2008年北京オリンピック:予選の1本目。Bスコアは9.750でした。上位はA:7.0以上の跳越を揃えてきた選手がほとんどだったため惜しくも決勝には出場できませんでしたが、素晴らしい着地です。
現在、一番の使い手はもちろん内村でしょう。実施も常に安定しており、しばしば完璧な着地を見せます。2012年ロンドンオリンピック:個人総合での着地も素晴らしかったですが、2010年ジャパンカップ:団体決勝での着地も完璧でした。あまりにも見事に決まり、にやけるのを抑えきれないという感じの内村(笑)。Eスコアは9.600。
女子ではこの跳越にアマナールの名が付いています。ルーマニアのシモナ・アマナールが2000年シドニーオリンピックで発表。1995年から1997年にかけて世界選手権とオリンピックの種目別で3連覇を果たした跳馬の女王で、その2回ひねりはもうキレキレでした。シドニーでは個人総合の女王にも輝いています。種目別で挑戦した2回半ひねりは着地が乱れメダルこそなりませんでしたが、記録と記憶そして採点規則にその名を残しました。
女子ではモニカ・ロシュ(ルーマニア)や程菲(中国)といった使い手がいましたが、何と言ってもナンバーワンはマッケイラ・マロニー。2012年ロンドンオリンピック:団体決勝で見せたこの跳越はまさにパーフェクト。9.733というEスコアを叩き出し、アメリカの団体金メダルに貢献しました。しかし、個人での金が確実視されていた種目別では2本目でまさかの尻もちを突き(それでも)銀メダルに。表彰式での不満そうな表情が話題にもなりましたね(笑)。
さて、この技の発展形ということになると3回ひねりということになります。これまで何人かの選手が成功させていますが、国際大会での実施は未だないようで、名前も付いていません。内村航平も2010年の全日本種目別選手権で跳んでおり、いよいよウチムラの誕生かと期待されましたがその後の国際大会では挑戦していません。そんな中、今年の世界選手権の代表に選ばれた高校2年生の白井健三が先日のインターハイで成功、シライになる可能性が出てきました。これは期待したいところです。
演技が雄大で素晴らしいでした。
難度重視の今の選手の汚点ですね。
跳馬と言えばヨー・ホンチュルが真っ先に思い浮かぶんですが、彼は旧跳馬であれだけ飛距離と高さのあるヨー2を実施出来たのだから、ヤン・ハクソンも実施出来た気がするのですが、どうなんですかね?
それと最近の跳馬は飛距離のない選手(特にひねり系を実施する選手)がちょくちょくいますが、あれは採点ではどう影響してくるんでしょうか?気になります。
かと言って、飛距離を出すためにネモフのように崩れた(高さのない)演技を実施されるのも嫌ですし。
やはりヨーさんのように飛距離と高さを兼ね備えた実施というのは難しいんですかね?
ヨーもいずれ本家本元で取り上げないといけない技です。ヨー2は今でもトップクラスの技ですが、発表は1994年ですからね。さすがに3回ひねりまでは考えもしなかったのかも。あの飛距離と高さで、着地も余裕の準備体勢でしたから十分やれてたかもしれないですね。ただ、勢い余って着地が乱れることも多かった気がします。
ヨーやネモフの頃は距離加点とかありましたからね。今は高さ不足の減点はありますが、距離に関する定めはないはずですよね。そうなると気にしなくていいところは気にしなくなってくるのでしょう。でもやはり飛距離も高さもある雄大な跳越が一番かっこいいですよね。