2013年 07月 09日
あん馬の見方:1.あん馬の基礎知識 |
Viewpoint of Pommel Horse :
1.Basic Knowledge
体操競技を見始めて間もない人にとって、最も分かりにくい種目は間違いなくあん馬ではないでしょうか。取っ手の付いた馬体の上で何やらくるくる回っている地味な種目、誰もが最初はそんなイメージしか抱かないと思われます。確かにゆかのような華やかさや鉄棒のような派手さはありませんが、見方が分かってくればこれほど面白い種目もありません。「あん馬の見方」などと言うととても偉そうですが、「ただの体操好き」向けに少しでもあん馬を面白く見られるようポイントをまとめていければと思います。以下の4回を予定しています。
1.あん馬の基礎知識
2.技のグループ
3.フロップとコンバイン
4.旋回倒立技の格上げルール
今回はあん馬の基礎知識として、次の3つのセクションに分けて説明していきます。
(1) あん馬の演技について
(2) あん馬の部分について
(3) 技の始まりと終わりについて
(1) あん馬の演技について Exercise Description
あん馬は2つの把手(ポメル)が付いた馬体で演技を行います。高さはマット上から105cm、床面からは115cm。演技は静止することなく、全て振動によって実施されなくてはならず、力技や静止技は認められません。馬体の全ての部分を使い、旋回技、振動技、交差技などによって演技は構成されます。
(2) あん馬の部分について Parts of Pommel Horse
あん馬の馬体は馬背とポメルによって構成されます。馬体はポメルによって3つの部分に分かれ、両端を馬端、真ん中をあん部といいます。
あん馬の部分を表す表現に1-2-3-4-5というものがあります。一方の馬端馬背からポメル、あん部馬背、ポメル、もう一方の馬端馬背を5つの番号で表したものです。
また、あん馬の上を移動する際の表現に1/3、1/2、2/3、3/3というものがあります。一方の馬端馬背から手前のポメルに移動した場合1/3、あん部馬背まで移動した場合1/2、2つめのポメルまで移動した場合2/3、もう一方の馬端馬背まで移動した場合3/3というように表現します。マジャールやシバドのようなD難度技は3/3移動をしているということになります。3部分移動ともいいます。
あん馬の部分について図にまとめると以下のようになります。
例として、下の動画のように馬端馬背から手前のポメルに移動し、あん部馬背と2つめのポメルを飛ばして、もう一方の馬端馬背まで移動した場合は、3/3移動(1-2-5)といった表現をします。
(3) 技の始まりと終わりについて Begin and End of Elements
あん馬が分かりにくいと言われる最大の理由は技の始まりと終わりが分かりにくいということに尽きるでしょう。静止することなく常に旋回しているあん馬の演技では確かにどこからどこまでが一つの技か分かりにくいと思われます。鉄棒も同じく静止することなく演技される種目ですが、車輪の運動が基本になっているため技の始まりと終わりが分かりにくいということはまずありません。
実は、採点規則には「すべての旋回技の開始と終了は正面支持である」と定められています。正面支持とは体の正面で馬体を支持している図のような状態のこと。正面支持であれば、横向き支持でも縦向き支持でも、馬背であろうとポメル上であろうと技の開始・終了足りえます。この正面支持に注目するとあん馬の演技がちょっと分かりやすくなります。
正面支持 Front Support
例を2つほど挙げます。まずはショーン(一腕上上向き全転向)(D)。技としては360°転向した時点で終了しているように見える技ですが、360°転向をした時点の体勢は背面支持であるため、両脚を抜いて正面支持にならないと技が終了したとはいえません。採点規則の図でも正面支持になるまでが描かれています。
ショーン Sohn
一方、ロシアン転向は技の全ての過程が正面支持であるため、途中で失敗してもその時点までの難度が認められます。ロシアン1080°転向を行おうとして、720°まで転向して落下した場合は(明確な正面支持が認められていれば)720°転向の難度が認定されます。
馬端馬背ロシアン1080°転向 Leather Russian 1080
1.Basic Knowledge
体操競技を見始めて間もない人にとって、最も分かりにくい種目は間違いなくあん馬ではないでしょうか。取っ手の付いた馬体の上で何やらくるくる回っている地味な種目、誰もが最初はそんなイメージしか抱かないと思われます。確かにゆかのような華やかさや鉄棒のような派手さはありませんが、見方が分かってくればこれほど面白い種目もありません。「あん馬の見方」などと言うととても偉そうですが、「ただの体操好き」向けに少しでもあん馬を面白く見られるようポイントをまとめていければと思います。以下の4回を予定しています。
1.あん馬の基礎知識
2.技のグループ
3.フロップとコンバイン
4.旋回倒立技の格上げルール
今回はあん馬の基礎知識として、次の3つのセクションに分けて説明していきます。
(1) あん馬の演技について
(2) あん馬の部分について
(3) 技の始まりと終わりについて
(1) あん馬の演技について Exercise Description
あん馬は2つの把手(ポメル)が付いた馬体で演技を行います。高さはマット上から105cm、床面からは115cm。演技は静止することなく、全て振動によって実施されなくてはならず、力技や静止技は認められません。馬体の全ての部分を使い、旋回技、振動技、交差技などによって演技は構成されます。
(2) あん馬の部分について Parts of Pommel Horse
あん馬の馬体は馬背とポメルによって構成されます。馬体はポメルによって3つの部分に分かれ、両端を馬端、真ん中をあん部といいます。
あん馬の部分を表す表現に1-2-3-4-5というものがあります。一方の馬端馬背からポメル、あん部馬背、ポメル、もう一方の馬端馬背を5つの番号で表したものです。
また、あん馬の上を移動する際の表現に1/3、1/2、2/3、3/3というものがあります。一方の馬端馬背から手前のポメルに移動した場合1/3、あん部馬背まで移動した場合1/2、2つめのポメルまで移動した場合2/3、もう一方の馬端馬背まで移動した場合3/3というように表現します。マジャールやシバドのようなD難度技は3/3移動をしているということになります。3部分移動ともいいます。
あん馬の部分について図にまとめると以下のようになります。
(3) 技の始まりと終わりについて Begin and End of Elements
あん馬が分かりにくいと言われる最大の理由は技の始まりと終わりが分かりにくいということに尽きるでしょう。静止することなく常に旋回しているあん馬の演技では確かにどこからどこまでが一つの技か分かりにくいと思われます。鉄棒も同じく静止することなく演技される種目ですが、車輪の運動が基本になっているため技の始まりと終わりが分かりにくいということはまずありません。
実は、採点規則には「すべての旋回技の開始と終了は正面支持である」と定められています。正面支持とは体の正面で馬体を支持している図のような状態のこと。正面支持であれば、横向き支持でも縦向き支持でも、馬背であろうとポメル上であろうと技の開始・終了足りえます。この正面支持に注目するとあん馬の演技がちょっと分かりやすくなります。
正面支持 Front Support
例を2つほど挙げます。まずはショーン(一腕上上向き全転向)(D)。技としては360°転向した時点で終了しているように見える技ですが、360°転向をした時点の体勢は背面支持であるため、両脚を抜いて正面支持にならないと技が終了したとはいえません。採点規則の図でも正面支持になるまでが描かれています。
ショーン Sohn
一方、ロシアン転向は技の全ての過程が正面支持であるため、途中で失敗してもその時点までの難度が認められます。ロシアン1080°転向を行おうとして、720°まで転向して落下した場合は(明確な正面支持が認められていれば)720°転向の難度が認定されます。
馬端馬背ロシアン1080°転向 Leather Russian 1080
by kaki_aqr
| 2013-07-09 21:00
| あん馬 PH
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