2013年 04月 09日
Eスコアの算出方法 |
Calculation of E-Score
Dスコアに続いて、演技実施の完成度を表すEスコアについても簡単に算出方法をまとめておきたいと思います。
Eスコアは10点満点から減点することによって算出されます。減点される要素には実施欠点と技術欠点があり、減点の点数は程度により以下の4種類があります(落下は2006-2008年ルールでは0.8)。
基本的には、これらの減点は技術的に完璧な実施からの
・小欠点 小さな、またはわずかな逸脱
・中欠点 明らかな、または大きな逸脱
・大欠点 より大きな、または極端な逸脱
であり、全ての項目は網羅しませんが、実施欠点には
・あいまいな姿勢(小欠点または中欠点または大欠点)
・手や握り手の位置を修正する(小欠点)
・倒立で歩く、またはとぶ(小欠点)
・ゆか、マット、または器械に接触(触れる:中欠点、ぶつかる:大欠点)
・腕、脚を曲げる、脚を開く(小欠点または中欠点または大欠点)
・着地で脚を開く(肩幅以下:小欠点、肩幅超:中欠点)
・着地でぐらつく、小さく足をずらす、手を回す(小欠点)
・不安定な着地(1歩動く:小欠点、大きく1歩:中欠点)
などがあり、技術欠点には
・正しい静止姿勢からの角度の逸脱(15°まで:小欠点、16°~30°:中欠点、31°~45°:大欠点、45°超はD審判によって難度不認定)
・ひねり不足(30°まで:小欠点、31°~60°:中欠点、61°~90°:大欠点、90°超はD審判によって難度不認定)
・宙返りや手放し技で高さや大きさ不足(小欠点または中欠点)
・力技を振動で、振動技で力を使う(小欠点または中欠点または大欠点)
・静止時間不足(2秒未満:中欠点、静止しない場合は大欠点+難度不認定)
・上昇運動が途切れる(小欠点または中欠点または大欠点)
・中間振動(半中間振動または無価値な振り下ろし:中欠点、中間振動:大欠点)
・体を伸ばす準備のない着地(小欠点または中欠点)
などがあります。種目に特有の減点項目もあり、例えば、ゆかでは「コーナーへの単純なステップや移動」が減点となりますし、つり輪では「過度のケーブルの揺れ」が減点となります。
採点競技なので、姿勢や角度などは審判によってどの程度の減点になるのか判断が分かれる場合があります。このためEスコアは複数の審判によって採点されその平均を取ることで算出されます。
2009年まではE審判は6人制で、最も高い得点と最も低い得点を除外し、4人の得点の平均点がEスコアとされてきました。
2009年までの例
審判の6人制は1993年から長らく続いてきた制度でしたが、2010年からFIG(国際体操連盟)は新たにRJ(Reference Judge)制を導入しました。これはE審判5人、R審判2人によって採点されるものです。これまでどおりE審判の最高点と最低点を除外し3人の得点の平均点(EJスコア)が算出されますが、このスコアと2人のR審判の平均点(RJスコア)との差(デルタ)が一定の値以上になったときは、EJスコアとRJスコアをさらに平均して最終的なEスコアを算出します。
例1
デルタが小さいのでEスコア = EJスコア = 8.966
例2
デルタが大きいのでEスコア = ( EJスコア + RJスコア ) / 2 = 9.058
デルタの値は、RJスコアによって以下の値が基準となります。
ただし、2人のR審判の得点に一定以上の差があったときはRJスコアは無効となり、EJスコアがそのままEスコアになります。
例3
デルタは大きいが、R1とR2に差があるためEスコア = EJスコア = 8.966
R1とR2の差は、EJスコアによって以下の値が基準となります。
これにより、2009年まではE:9.275のような0.005刻みのEスコアしかありえませんでしたが、2010年からはE:9.133(小数第4位切捨)のような割り切れないEスコアが見られるようになっています。さらにはE:8.916なんていうEスコアが表示されることもあり、R審判の得点が関わっていると思われますが、通常はそこまで突き詰めて見ることもないと思われます(笑)。
なお、E審判5人、R審判2人の7人制はオリンピック及び世界選手権における編成で、その他の国際大会はE審判のみの4人制や6人制で採点されています。
最後に、Eスコアは10点満点と書きましたが、何らかの理由により10技に満たない演技がなされた場合は10点満点ではなくなり、次の点数からの採点となってしまいます。
Dスコアに続いて、演技実施の完成度を表すEスコアについても簡単に算出方法をまとめておきたいと思います。
Eスコアは10点満点から減点することによって算出されます。減点される要素には実施欠点と技術欠点があり、減点の点数は程度により以下の4種類があります(落下は2006-2008年ルールでは0.8)。
小欠点 中欠点 大欠点 落 下
0.1 0.3 0.5 1.0
基本的には、これらの減点は技術的に完璧な実施からの
・小欠点 小さな、またはわずかな逸脱
・中欠点 明らかな、または大きな逸脱
・大欠点 より大きな、または極端な逸脱
であり、全ての項目は網羅しませんが、実施欠点には
・あいまいな姿勢(小欠点または中欠点または大欠点)
・手や握り手の位置を修正する(小欠点)
・倒立で歩く、またはとぶ(小欠点)
・ゆか、マット、または器械に接触(触れる:中欠点、ぶつかる:大欠点)
・腕、脚を曲げる、脚を開く(小欠点または中欠点または大欠点)
・着地で脚を開く(肩幅以下:小欠点、肩幅超:中欠点)
・着地でぐらつく、小さく足をずらす、手を回す(小欠点)
・不安定な着地(1歩動く:小欠点、大きく1歩:中欠点)
などがあり、技術欠点には
・正しい静止姿勢からの角度の逸脱(15°まで:小欠点、16°~30°:中欠点、31°~45°:大欠点、45°超はD審判によって難度不認定)
・ひねり不足(30°まで:小欠点、31°~60°:中欠点、61°~90°:大欠点、90°超はD審判によって難度不認定)
・宙返りや手放し技で高さや大きさ不足(小欠点または中欠点)
・力技を振動で、振動技で力を使う(小欠点または中欠点または大欠点)
・静止時間不足(2秒未満:中欠点、静止しない場合は大欠点+難度不認定)
・上昇運動が途切れる(小欠点または中欠点または大欠点)
・中間振動(半中間振動または無価値な振り下ろし:中欠点、中間振動:大欠点)
・体を伸ばす準備のない着地(小欠点または中欠点)
などがあります。種目に特有の減点項目もあり、例えば、ゆかでは「コーナーへの単純なステップや移動」が減点となりますし、つり輪では「過度のケーブルの揺れ」が減点となります。
採点競技なので、姿勢や角度などは審判によってどの程度の減点になるのか判断が分かれる場合があります。このためEスコアは複数の審判によって採点されその平均を取ることで算出されます。
2009年まではE審判は6人制で、最も高い得点と最も低い得点を除外し、4人の得点の平均点がEスコアとされてきました。
2009年までの例
E1 | E2 | E3 | E4 | E5 | E6 | Eスコア |
9.5 | 9.4 | 9.5 | 9.4 | 9.450 |
審判の6人制は1993年から長らく続いてきた制度でしたが、2010年からFIG(国際体操連盟)は新たにRJ(Reference Judge)制を導入しました。これはE審判5人、R審判2人によって採点されるものです。これまでどおりE審判の最高点と最低点を除外し3人の得点の平均点(EJスコア)が算出されますが、このスコアと2人のR審判の平均点(RJスコア)との差(デルタ)が一定の値以上になったときは、EJスコアとRJスコアをさらに平均して最終的なEスコアを算出します。
例1
E1 | E2 | E3 | E4 | E5 | EJスコア | R1 | R2 | RJスコア | デルタ | ||
9.0 | 9.0 | 8.9 | 8.966 | 9.1 | 9.0 | 9.050 | 0.084 |
例2
E1 | E2 | E3 | E4 | E5 | EJスコア | R1 | R2 | RJスコア | デルタ | ||
9.0 | 9.0 | 8.9 | 8.966 | 9.1 | 9.2 | 9.150 | 0.184 |
デルタの値は、RJスコアによって以下の値が基準となります。
RJスコア デルタ 9.600 - 10.000 0.05
9.400 - <9.600 0.10
9.000 - <9.400 0.15
8.500 - <9.000 0.20
8.000 - <8.500 0.30
7.500 - <8.000 0.40
0.000 - <7.500 0.50
ただし、2人のR審判の得点に一定以上の差があったときはRJスコアは無効となり、EJスコアがそのままEスコアになります。
例3
E1 | E2 | E3 | E4 | E5 | EJスコア | R1 | R2 | RJスコア | デルタ | ||
9.0 | 9.0 | 8.9 | 8.966 | 8.9 | 9.4 | 9.150 | 0.184 |
R1とR2の差は、EJスコアによって以下の値が基準となります。
EJスコア R1とR2の差
9.600 - 10.000 0.0
9.400 - <9.600 0.1
9.000 - <9.400 0.2
8.500 - <9.000 0.3
8.000 - <8.500 0.4
7.500 - <8.000 0.5
0.000 - <7.500 0.6
これにより、2009年まではE:9.275のような0.005刻みのEスコアしかありえませんでしたが、2010年からはE:9.133(小数第4位切捨)のような割り切れないEスコアが見られるようになっています。さらにはE:8.916なんていうEスコアが表示されることもあり、R審判の得点が関わっていると思われますが、通常はそこまで突き詰めて見ることもないと思われます(笑)。
なお、E審判5人、R審判2人の7人制はオリンピック及び世界選手権における編成で、その他の国際大会はE審判のみの4人制や6人制で採点されています。
最後に、Eスコアは10点満点と書きましたが、何らかの理由により10技に満たない演技がなされた場合は10点満点ではなくなり、次の点数からの採点となってしまいます。
技数 Eスコアの満点
7技以上 10.0
5~6技 6.0
3~4技 4.0
1~2技 2.0
0技 0.0
by kaki_aqr
| 2013-04-09 21:00
| 採点規則 COP
|
Comments(2)
Commented
by
N
at 2018-01-10 17:24
x
こんにちは。
当方、体操経験者で体操競技の採点方式に興味があり、大変楽しく記事を拝見しております。
自分なりに調べているのですが、もしよろしければ「RJスコアに対するδの基準値」と「EJスコアに対するRスコアの差の基準値」の出典を教えていただきたいです。
急な要望で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
当方、体操経験者で体操競技の採点方式に興味があり、大変楽しく記事を拝見しております。
自分なりに調べているのですが、もしよろしければ「RJスコアに対するδの基準値」と「EJスコアに対するRスコアの差の基準値」の出典を教えていただきたいです。
急な要望で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
FIG公式サイトにある"Appendix to the CoP"に記載されています。
www.fig-gymnastics.com/site/rules/disciplines/art
www.fig-gymnastics.com/site/rules/disciplines/art